四国一周ツアー13日目。「HOTEL RIVIERAししくい」で迎える朝。昨日ツアー最長の約100kmを走ったご褒美に用意してくださったホテルです。全室オーシャンビューという贅沢仕様。朝には水平線から昇る太陽を拝めます。ちなみに筆者は見逃しましたよ笑。AM:6:19。親切にもそれを知らせる村田さんの着信に気付かず。窓の外はもうただの朝日。いや、これも綺麗なんですけどね。
ご褒美ホテルだけあり朝食も豪華。一般的には一膳でやってくるところを二膳で登場。野菜がたっぷり摂れて、健康的な朝にお腹も大満足です。さて、今日はですね、なんとこの後、親友のガー子が合流します。モニターの兼ね合いで伴走者を探していたところ、OKしてくれたのです。誰かと走るのはツアー7日目の中平さん以来(※中平さん:ツアーで出会った自転車の師匠、村田さんのお知り合い)。この時は師匠の後を追う楽旅でしたが、今回先導するのは自分。ペース配分や手信号、道路の何処を走るのか等、一人より配慮する事が沢山あります。上手くできるか心配。何より楽しんでもらえますように。ワクワクと緊張の1日の始まり。
ホテルにガー子到着。早速、村田さんが一通りE-BIKEを説明。その後は試運転。電動アシスト独特の感覚に驚いているガー子は、ツアー初日の自分と一緒。もうあれから2週間が経とうとしているなんて。筆者からも走る時のポイントを伝授。重心の掛け方や車道を走る時の位置など。村田さんや中平さんに教わった知識を総動員。「饒舌ね」と村田さんがからかってきますが。確かに、ほんの少し前まで何も知らなかったんですよね、筆者も。
いざ出発!!今日は国道55号線を室戸岬に向かって、ひたすら南下する一本道。迷子常連なので、懸念材料が一つ消えるのは有り難いことです。左には海岸線と広大な日本海。村田さん曰く、今日はツアーのハイライトになるぐらい景観が良いコースとのこと。写真に収めたくなる程の美しさが続く続く。贅沢にもツアーで慣れた光景を、ガー子は繊細に拾っていきます。何気ない海岸線、空を飛ぶトンピ、変な鳴き声のウシガエル。後ろから聞こえる感嘆の声や、大切に写真に収めていく姿を見ていると、何だか嬉しさが込み上げます。ガー子を誘って良かったなぁとしみじみ。
ガー子は、あっと言う間にE-BIKEと仲良しになった模様(※筆者は3日ほど要しました)。坂道を軽々上れることに感動したり(※筆者は推進力の無さに愕然としたものです)。鍵掛けをお手本初見でマスターしたり(※筆者は2回手解きが必要だったし、今でももたつきます)。宣材用の写真を撮られるのも上手(※筆者は直立不動のワンパターン)。筆者の積み上げた12日間は、数時間で超えられました。時が戻るなら、朝ドヤっていた自分をぶん殴りたいですね笑。
本日は観光スポットが目白押しゆえ、走行距離が短め。宍喰から約30km。2時間程で室戸に入ってきました。1つ目のお立ち寄りは「むろと廃校水族館」。旧・小学校をリノベーションした水族館は、学校設備を水槽として活かした斬新な展示が特徴です。例えば、手洗い場でヒトデやナマコに触れたり。25mプールで魚の群れが周遊していたり。生活圏に魚という違和感。まるでジブリ映画「崖の上のポニョ」の世界です。懐かしさにも浸れて、それは不思議な空間でした。
室戸は、国際的に価値がある地質遺産として、ユネスコ世界ジオパークにも認定される一帯。予習を兼ねて「室戸世界ジオパークセンター」へ。大地の成り立ちのほか、室戸の伝統文化の紹介コーナーも。ここで頂けるのが「ジオソフト」。ジオパークの岩をイメージした濃いグレーのソフトです。お味はバニラ。炭が配合されているんだとか。室戸のお塩が入っているらしく後味すっきり。小腹が喜んでおります。
ツアーでは、思いがけない沢山の出会いがあり、たった一度のどれもが刺激的でした。出会いに大きな価値を感じた(こんな事を思うのは初めて)、そんな話を村田さんにしたのが先日。村田さん「面白い人がいるよ」。お昼ご飯に立ち寄った「ホテル明星」で、営業企画統括部長の田村さんをご紹介くださいました。突撃訪問でしたが、温かい歓迎に感動です。
お話したのは、予想外にも自転車の旅に関して。身一つで直に地球の大きさを感じられる魅力と、四季折々の変化でまた走りたくなる中毒性があるお話。今回のツアーにおいては、新しい経験も多くて強烈な思い出になるでしょう、と。ツアー主催者ではない田村さんが、自分事のようにお話される姿は新鮮に映ります。ツアー参加者や村田さん、観光業を想い、考える機会があったのでしょうか。田村さんには、大局が見えているんだなぁと仰ぎ見るばかりでした。
お昼ご飯のお呼び出しでお食事処へ。村田さんイチ押し「贅沢キンメづくし丼」。高級魚・金目鯛をお造りと照り焼き、最後に〆で金目鯛出汁を掛けてお茶漬けで頂ける一品。室戸沖は一気に水深が深くなっているので、深海魚である金目鯛が漁獲できるそうですよ。食べられない時もあるようですが、今日はラッキー。もっちり食感に甘い脂がのったお刺身。旨味が凝縮した煮付け。気がつけばお茶漬け用のご飯が少なっ!?美味しすぎて、ペース配分が難しいのです。お出汁たっぷりで飲み干してゴール。筆者の辞書に金目鯛が新規登録されました。万歳!
ホテルから数分歩いた所には「みくろ洞」があります。弘法大師・空海が空海になった場所。山にぽっかり空いた洞窟で修行中、そこから見た「空」と「海」だけの世界に感銘を受けて、「空海」を名乗り始めたのだとか。とても思いつかないですが。悟りの境地ですね。
世界のジオパークは、「室戸岬観光案内所展望台」を起点に散策。海との境界にゴツゴツとした岩の列。大地が、確かにおやつのジオソフト色です。植物は亜熱帯性や海岸に特異的に生えるものが多いそうで、独特な見た目。「子授の岩」を発見したので運試しタイムへ。岩に小石を投げて上に乗ればOKとのこと。ガー子、カメ子は無事成功。ありがたや。更に先へ進めば、飛び込んでくるのは、猛る大地。地層が地面から生えているのです。静止しているのに、凄い躍動感。大きすぎる自然に、本ツアー何度目かの言葉を失うのでした。
村田さんから面白い魚屋があるとのことで「浦戸屋」へ寄り道。お昼に頂いた金目鯛や、日常生活では見掛けない珍しい魚達がずらり並んでいます。水族館より間近に観察できるのは、魚屋さんのポイントかもしれませんね。
楽しみにしていたのがイルカ達とのご対面。「室戸ドルフィンセンター」では、深い円形状のプールにイルカ2頭が悠々泳ぐ姿が観察できます。お触りできる程の至近距離。近付きすぎると水掛けのイタズラをされるかもらしいですよ?丁度ショーの時間らしく、イルカ達がお姉さんの合図で集合。ずっと動き回っているので、静止画で見られるのはこの時だけ。タイミングを見て行くのがオススメです。
本日ゴールは、宿泊先「旅籠屋」。ツアーでは3度目の利用。大荷物なので、広い客室にはいつも助かっています。今日泊まるのは国道55号線沿い。にも関わらず、最後の最後に迷子。通り過ぎておりました。ここまで順調に先導できていたのに、締まりません。笑ってくれたガー子の優しさが沁みました。
「ホテル明星」の田村さんから村田さんに着信が。寒ブリの大物が入ったので、晩御飯どうだい?とのお誘いです。急遽予定が変更となり、現場に直行。何と寒ブリを見させていただけることに。信じられませんが、数時間前まで太平洋を泳いでいた子。普通のブリより厚みがあるのが特徴です。今回のは特に大きいそうで。鮮度を示すように透き通る眼。今宵、頂けるなんて、有り難すぎる幸せに、感動の収拾がつきません・・・。
遅い時間なので、ガー子とはお別れに。寒ブリを一緒に食べられず残念。最後に言葉のプレゼントを沢山貰いました。一緒に走れて良かったこと、楽しかったこと、筆者の先導が走りやすかったこと。どうしたって自転車はお尻が痛く、素人の先導は拙いもの(道に迷ったし)。万全では無いなか、イイ側面を拾ってくれて救われる思い。素敵な友達を持ったものです。四国一周もあと1日頑張ってと残して、MURATA号に乗り込む彼女。見送りながら、気合いを入れ直します。
お風呂は「ホテル明星」にて。露天風呂では、室戸海洋深層水を100%使用したスパが楽しめます。力を抜けば、手足がふわり。おお!!あ、でも流石に身体全体は浮きませんでしたよ(筆者だけですか??)。たっぷりミネラルなので浮力があるのです。出た後はポカポカ感が持続して、お肌はすべすべ。美肌効果もありそうですね。
入浴を終えて、頭は寒ブリ様一色。ご対面を果たした時は、眩しさに眼が・・・!恐れ多くも以下食レポ。お刺身は、ブリ様3部位 (背身~腹身)とハガツオ様。ブリは部位ごとに脂のノリが違い、味わいがまるで異なります。立派な寒ブリ様だからこそ、豊かな味のバリエーションが生まれるのだとか。ブリ様の塩焼きは、塩以外に味付け不要というのが頷けます。旨味が口一杯。そしてブリの子の煮付けは、滅多にお目にかかれない希少部位。またの名を「きいこ」。濃厚な味と卵の舌触りが癖になる一品です。さすがの鮮度で、どれも一切の臭みが無く、そこにあるのは「美味しい」のみでした。これが真の寒ブリ様。筆者の知るブリが大更新されていきました。
旅籠屋に帰り、一人ベッド。天井を仰ぎながら今日起きた出来事を信じがたい気持ちで振り返りました。親友と走り、田村さんと出会い、金目鯛を食べ、寒ブリを食べ、室戸の大自然を体感した1日。なんて濃厚。
ガー子と走れた事について。
1人黙々と走るより、気を遣うことがありました。マイペースに走るのもできません。でも、誰かと同じ景色を共有したり、中身の無い会話したりする時間は、たまらなく愛しいものだと再認識できました。日常生活では見ることの出来ない、彼女の新たな一面を発見したり。感性が違うから、突拍子も無い発言に、そんな見方もあるんだなぁと刺激を貰えたり。友達と走る14日間も素敵なものになりそうです。
今回は、E-BIKEの12日間だけ先輩としてリードする立場でもあり。ツアー参加者でありながら、運営側の気分でもいました。どうか楽しんでくれますように。目の前で大切な人が喜んでくれる姿は、本当に嬉しいものですね。幸せな時間をくれたガー子に心からの感謝を。
田村さんとの出会いについて。
田村さんの印象は、「利他100%」と「超主体的」。偉そうですが、筆者語彙力の限界です。お許し下さい。実はお風呂前や夕食前にも沢山お話をしました。日の入りにはダルマ夕日が見える事や、周辺の観光事業のこと、お食事を楽しむためのご説明等々。話題は何れも田村さん以外の誰かの為に向かっていました。一を聞けば十を質問する筆者にも終始真摯。割いてくださった時間は接客の域を超えており。従業員としてではなく、田村さんという個人として、そうして下さっていることが伝わりました。寒ブリを見る・食べる経験をさせてくださった事は最たるもので。ホテルという組織の中で、イレギュラーな判断だった筈なのです。一般解に嵌まらず、ベストと思えるものを、それも誰かの為という理由で実行できるなんて、最高に粋ではないでしょうか。「ありがとうございます」以上の感謝を伝えるには、どうしたら良いのか。抱えきれない程の多くのGIVEを、愛を、本当にありがとうございます。そして、ご縁をくださった村田さんにも、感謝申し上げたいです。
さて、明日はツアー最終日。それは「終わり」。理屈では分かっていますが、まだピンときていません。集大成の1日はどんな風に過ぎていくのでしょうか。四国一周の環が繋がった時、何を思うのでしょうか。今宵は悶々。
四国一周まであと77.5 km
モニターツアー【カメコ編】 記事一覧
DAY | 走行場所 | 走行距離 |
---|---|---|
1 | 高知県 高知市~須崎市 | 55 km |
2 | 高知県 須崎市~四万十市 | 74 km |
3 | 高知県 四万十市~土佐清水市 | 55 km |
4 | 高知県 土佐清水市~愛媛県 愛南町 | 59 km |
5 | 愛媛県 愛南町~宇和島市 | 40 km |
6 | 愛媛県 宇和島市~喜多郡 内子町 | 58 km |
7 | 愛媛県 喜多郡 内子町~松山市 | 62 km |
7.5 | 愛媛県 松山市 & 今治市 | 走行はお休み |
8 | 愛媛県 松山市~今治市 | 77 km |
9 | 愛媛県今治市~香川県観音寺市 | 92.5 km |
10 | 香川県 観音寺市~高松市 | 83 km |
11 | 香川県 高松市~徳島県 鳴門市 | 73 km |
12 | 徳島県 鳴門市~海部郡 宍喰町 | 99.5 km |
13 | 徳島県 海部郡 宍喰町~高知県 室戸市 | 48 km |
14 | 高知県 室戸市~高知市 | 77.5 km |
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