四国一周ツアー7日目。本日はなななんと!特別ゲストに中平さんが伴走してくださるらしいのです。ワーー!(拍手) 中平さんは村田さんのお知り合い。筆者はツアー4日目で初対面。今回お会いするのが2回目です。高知県の宿毛市在住。遠方からですが、朝から駆け付けてくださるのです。恐縮の極み。中平さんといえば自転車。自宅でもバイクトレーニングを楽しまれる程の猛者様です。果たしてずぶの素人は着いて行けるのか?予測不可能な1日が幕開け。

待合せは肱川緑地・緑地公園。現在地は内子町。昨日海沿いを走る四国一周ルートを外れ、内陸でちぃと道草したので、来た道を戻ります。復路 約13km。見覚えのあるような無いような。逆走した風景は随分違います(※単に記憶してないだけの説)。一度走った道と思えば体感距離が長くなる不思議。遠し大洲。

大洲城。辺りには桜の木々。季節がもう少し進めばもっと綺麗なのでしょう

緑地公園があるのは肱川沿いの河川敷。土手を登ると向こう岸に大洲城が。お城は何故か目を惹きますよね。人を選ばない美しさの正体とは一体・・・。ここからは下流へ。土手には自転車歩行者専用道が整備されています。車の喧噪が無く、頭上に広い空。朝のリセットには最高です。行き交う人はお散歩中。健康的な朝ですね。中平さんご指定の合流場所は菜の花畑。丁度見頃ということで設定してくださいました。粋な計らいです。

春来たり。一面を埋める満開の黄色

中平さんを先頭に出発。間隔50cmほどを空けて師匠を追います(※勝手に弟子入り)。前との距離が近いほど空気抵抗は少ないそう。確かに単独走行よりペダルが軽く速度が出ます。師匠の上半身はほとんどぶれません。足が上下に律動するのみ。自転車界では1分間に90回転以上漕ぐのが基本、との村田さん情報。早し!!これがサイクリストの走り。

中平さんの伴走は至れり尽くせり。「左折」「右折」「停止」「障害物注意」の手信号。地図は確認不要で着いていくのみ。走行速度も快適。うつけは思考停止できる訳です。ありがたや。一行は肱川沿いの県道24号線を経て、国道378号線へ。久しぶりの海。少しだけ「冨屋金兵衛邸」にお立ち寄り。坂本龍馬が脱藩する際に、四国で最後の夜を過ごしたお宿だそうです。資料館も併設されていますが、残念ながら休業中。次の目的地へ走行再開です。

お宿としても現役。泊まれば御利益がありそうです

暫くはまた海が見えなくなったので、師匠観察。背中を見て学べとは成程。勉強になります。路面状態にあわせたルート選び、変速のタイミング、車道を走る時は白線よりも少し外側、等々。ちなみに白線の外側と内側は少しの違いながら、車側へのプレッシャーが随分変わってきます。白線外側の場合、危機意識がぐっと高まるので、大きく追い越して貰えて、接触事故の回避に繋がるのです(村田さん解説より)。実際、白線の外側は、内側を走るより安心感がありました。意外ですよね。

ようやく見えてきた海は凪。高知で見た荒々しさはありません。早送りしても変わらない程ゆっくりと。そんな世界にJR下灘駅はあります。日本一海に近い駅。フォトスポットとして、超人気スポットなのです。無人改札を抜ければ、その先には単線とプラットフォーム、そして向こうには群青の海。スカートひらりの女子高生 か 虫取り網の少年を添えてみたい。そんなノスタルジックな青春の風景がありました。

車は1時間に0~2本。巡り会えたらラッキーですね
左から村田さん・筆者・中平さん。思い出の1ページ

道は下り坂。いつもの如く空回りするペダルを持て余していると、師匠からアドバイスが。前輪の変速で解消できるとのこと。6日間格闘した案件はあっさり解決へ。素人の試行錯誤よりも、匠の一度の教えの方が実りがあります笑。国道378号線は峠越えへ。一人で走る時は推進力の無さに悶々とするのですが。今回は前方に中平さん。普通のスポーツバイクなので全力の立ち漕ぎしている姿を見ていると、座ったままヒルクライムできる立場で、文句を言えた身ではないなと改心もします。恵まれた身と分かれば心にも余裕が生まれるもので。同じ事をどう解釈するかが分かれ目なんですね。

国道56号線に入ると片側二車線へ。交通量が一気に増えてきました。大型トラック爆走。師匠と一緒でも車道は怖いかも。と思っていると歩道に先導してくれる中平さん。もう何度目かの神対応。本当に学ぶものがあります。ゴールの松山は目前。ここでお腹を満たします。近くで地場料理を頂くのは難しいため「らーめん えい吉」へ。

味噌ネギラーメンと餃子を頂きました。3月の風に冷えた身体が温まります

食べ終えた頃、中平さんから紹介したいサイクルショップがあるとのご提案が。対して村田さんは快諾。急遽イベントが追加されました笑。ツアーの柔軟さには驚くばかり。訪れたのは国道56号線沿いにある「Groove」さん。オーナーの平磯さんは四国一周を3日で走破した伝説級の記録保持者。鉄人であり、価値観も非凡な平磯さんのお話は、どれもセンセーショナルでしたが、特に印象的だったのを一つ。

「ブルーライン(※四国一周サイクリングルートには青い路面案内が敷設されいます)を外れてみて欲しいんだよね。自転車は自由な乗り物。車と違って何処にでも行ける。自分が好きな時に好きな場所に行けるのがいいんだ。折角自由なのに目的地を決めて走るなんて堅苦しくない?人生もそうでしょ?」。日常に溢れる誰かが決めた何か。ルールや暗黙の了解。全てに右倣えする必要は本当にあるのか。

平磯さんの教えは、人生はもっと自由に生きていいし、その為によく考える事が大切だという事。筆者には図星で。型に嵌まらなければならない、嵌まった方が楽。理由は色々ながら、自身の意思< 模範解答としてきた今まで。何にも囚われないとすれば、どんな生き方ができるでしょうか?狭まっていた視野が一気に開けた感覚があり。持て余すものの。平磯さんのお陰で、筆者はこれから選び取った人生を歩める気がしました。

スポーツバイク専門店。店内一画にはオーナーこだわりの珈琲やビールなどが味わえるカフェも。

平磯さんの拘り珈琲を頂きつつ、気がつけば1時間半 (珈琲は平磯さんのフリで、中平さんが奢ってくださいました。ご馳走様です)。まだ話し足りないものの解散の時。中平さんは高知県の宿毛市までご帰還です。先日晩御飯をご一緒した時も然り。本日も然り。与えていただいたものが多すぎて、感謝しきれぬ想いが迷子迷子。遠くなる背中に恩返しを固く誓ってお見送り。そして筆者もGrooveさんを後に。

平磯さんと中平さんへ
 お二人との出会いは私の財産です。
 選択を迷う時、人としての在り方に悩む時、きっと何度も今日に立ち返ることと思います。
 貴重な時間を頂き、本当にありがとうございます。お二人のご温情に心からの感謝を。

大恩人の皆さんとの大切な一枚。左から、中平さん・筆者・平磯さん・村田さん

後はゴール松山を目指すのみ。国道56号線を更に北上。段々と歩行者や自転車の往来も増えてきました。街中を走るのは想像以上の気苦労。ごっそり精気を吸い取られ、宿泊先の「ドーミイン松山」に何とか到着。珍しく後から合流した村田さんが、けしからんという顔だったので、筆者の罪を白状します。罪①:ルートミス。国道56号線ではなく石手川沿いを走るのが正規。罪②:待合せ場所はホテル裏側のところ、玄関口に待機。両者共に今朝指示を頂いているのに、日中が濃厚すぎて鳥頭は忘却した訳です。猛省案件。

こんな時は水に流すが一番←。ドーミイン松山の魅力はアルカリ性単純温泉がホテルで楽しめる所です。しかも露天風呂付。浴場にはランドリーコーナーが併設され、入浴中に洗濯できるのも良かったです。身も心もスッキリして、晩御飯は商店街へ繰り出します。

数あるお店から村田さんが選んだのは「狩人の空」。ここが大正解でした。愛媛県の大自然で育った猪や鹿などが頂けるジビエ専門店。熊などもあるそうです (食べられるんですね笑)。ジビエといえば獣臭を想像しますが。驚くなかれ。どのお料理も臭みゼロ。それどころか独特の風味が存分に活きていて。普通のお肉ではもう物足りないと思う程。ジビエの底知れぬ可能性を感じました。

愛媛鹿の塩タタキ。香ばしい香りと鹿の旨味にビールが進む至高の一品
ウリボウのスペアリブ。お肉が柔らかくて甘くて、こちらは赤ワインが欲しくなります

そういえば頂いているのは、害獣駆除で捕獲された子達。先日、害獣駆除は人との共生だけでなく環境保全のためにも必要だと聞いたのを思い出しました。この子達はその犠牲。よく‘尊い’と形容されますが。実際に口にしていると、行為を正当化しているように感じられ、違和感を覚えます。「命」を頂いているという、ただ一点。「いただきます」。食事が日常すぎて忘れがちですが。よくよく自覚して感謝せねばと思い直す機会になりました。全て大変美味しかったです。心よりご馳走様でした。

珍味の全部入り盛り合わせ。鹿・猪・鴨・馬の燻製やサラミ等。破格の800円!注文必須です
ジビエすじとチーズのトリッパー風(トマト煮込み)。パンと一緒に食べれば二度楽しめます

今宵はまだ時間に余裕があるので、老舗の「ニッカバー」で二次会。筆者は人生初のバー。近くにある普通のバーはコロナの影響で休業中。故に攻めたデビューとなりました笑。落ち着いた店内に落ち着かない小者。ウイスキーの飲み比べは難易度が高く、美味しいですが、何とコメントすれば??来るのが早すぎたと早々に痛感するオチ。居たたまれず敢え無く退散。違いの分かる女になりたいです。切実に。

品格を感じさせる店内。ワンランク大人の雰囲気でした

今日は盛り沢山の1日。興奮が冷めず、中々眠れません。縁が縁を呼ぶ。最初に筆者と村田さんの出会いがあり。村田さんから中平さん、中平さんから平磯さんと繋がっていきました。何も持たぬ自分が一連に居合わせたのが実に不思議です。正に巡り合わせというものでしょうか。新しい価値観や美徳に触れ、何皮も剥けた感覚。咀嚼しきれず、まだ消化不良ですが。出会いを通じて、世界の見え方が変わりつつあります。自分のものに出来た時、今とはずっと違う場所に居るのかもしれません。これから試行錯誤ですね。

さて、明日は村田さんのお仕事の関係で走行はお休みです。寝坊OKなので、この高揚感を存分に味わうことにします。おやすみなさい。

四国一周まであと551 km

モニターツアー【カメコ編】 記事一覧

DAY走行場所走行距離
1高知県 高知市~須崎市55 km
2高知県 須崎市~四万十市74 km
3高知県 四万十市~土佐清水市55 km
4高知県 土佐清水市~愛媛県 愛南町59 km
5愛媛県 愛南町~宇和島市40 km
6愛媛県 宇和島市~喜多郡 内子町58 km
7愛媛県 喜多郡 内子町~松山市62 km
7.5愛媛県 松山市 & 今治市走行はお休み
8愛媛県 松山市~今治市77 km
9愛媛県今治市~香川県観音寺市92.5 km
10香川県 観音寺市~高松市83 km
11香川県 高松市~徳島県 鳴門市73 km
12徳島県 鳴門市~海部郡 宍喰町99.5 km
13徳島県 海部郡 宍喰町~高知県 室戸市48 km
14高知県 室戸市~高知市77.5 km

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