四国一周ツアー6日目。登録有形文化財で目覚める神聖な朝。天井の大きな梁がその実感を確かにします。映画の中にいるような気分。起き上がると、そういえば透明な床の隣で寝ていたと思い出します(木屋旅館には2階から1階が見える透明な床が何部屋かあり、面白がってそこで寝ようとした訳です。←アホ)。下に見えるのは開店前の売店。その特別感にほくそ笑んでいると、端に人影。幼稚行動がバレたかもしれません。お見送りで特に言及無しでしたが、気遣っていただいたのか気になっています笑。

朝ご飯も含めて木屋旅館という作品なのかもしれません。全てが抜かりなく感動しました

国道320号線。宇和島駅前は通勤ラッシュに混雑していました。思い出される会社員時代の忙しなさ。今は無収入ですが自由があり充足があります。鮮烈な対比。今を続けることはできないですが、必要な時間を過ごしている。そんな気がするのでした。駅を抜けると長いトンネル3つと山登り。もう少々のハードは堪えません。鼻高に思っていたところに着信を告げる音。それは村田さんからの悲報でした。「道間違ってるよ」。

時は木屋旅館の出発まで遡ります。村田さん「国道を走っていてください」「あっちに行けば出るから」。筆者「国道は何号ですか?」。村田さん「行けば分かるさ」。筆者「・・・」。そうして”あっち”に向かって出たのが国道320号線。一方で村田さんが言ったのは国道56号線。320号線を超えて更に”あっち”の道なのです。そんなの分かる訳無いですよね笑?ムキムキする筆者に村田さん「海沿いを走るツアーなんだから国道56号線以外無いでしょ(爆笑)」。更には「方向(宇和島⇒内子)を考えたら分かるでしょ(爆笑)」。・・・一理ありますが、異議あり!!!笑。仕方が無いので、本命の国道56号線を目指します。

国道56号線はまた山登り。坂道もドンと来いな余裕は、遠回りでとっくに撃沈しているんです。それでも続く坂道。乏しい推進力にイィィィイとなる自分をもう1人の自分が宥める構図。割と精神エネルギーを消耗します。心を無にせねば。その習得が急がれる気がしました。一種の修行ですね。

みかん畑を蛇行して走るレール。思っているよりも華奢です。トロッコ体験もあるみたいですよ

右手に急斜面が見えてきました。少し緑の違う柑橘畑が互い違いに現れます。文旦(多分)やデコポン(多分)。旬なのでしょうか。美味しそうなドットです。緑の間を縫っているのがトロッコレール。作業はこの線を中心に??畑は広く、勾配はきつい。収穫までに何度傾斜を登るのでしょうか。重労働は容易に想像されます。何気なく食べている果物ですが。食べ物との向き合い方を考えさせられますね。もっと感謝して頂きます。海が見え始めると、みかんの香りが辺り一面に。生身で走る自転車の特権ですね。デコポンを道沿いの赤松観光農園で頂きました。生産者様、ありがとうございます。

赤松観光農園からの一望。法花津湾を柑橘の段々畑が囲んでいます
甘みと酸味が凝縮されていました。疲れが吹き飛びます

宇和島藩の宿場町「卯之町」に到着。お散歩絵図(パンフレット)を頂き、自転車で一帯を観光しました。並ぶのは江戸時代~昭和初期の建物。建物ごとに時代が異なるからか少しずつ個性が違います。筆者が惹かれたのは「松屋旅館」。創業は江戸時代。宿泊履歴には新渡戸稲造など偉人達の名が。門から覗くお庭は格式高い雰囲気で、お邪魔するのが憚られました。気品を身につけてリトライしたいです。

卯之町の町並み。白壁と焼杉のコントラストが映えます
松屋旅館。時代劇に出てきそうな外観に惹かれました

大洲の町に入り、焦がれたランチタイム。待合せは「お食事処との町たる井」明治初期の建物が改装された店内は情緒たっぷり。大洲の郷土料理も食べられるとあり、メニューには鮎や鰍(かじか)の名が。中でも必食は鰻様。大正初期から続く秘伝のタレで頂けます。頼んだのは「鰻せいろ蒸し」。注文後に調理されるので、少し待ってご登場。ご飯に埋もれた鰻は、パリパリ皮が香ばしく、身はフワフワ。上流階級の味わいに恐縮さえ感じます。もはや教養を頂いている感覚。一つの人生経験としてインプットされていきました。

鰻のせいろ蒸し (鰻の肝のお吸い物付)。構造は上から 錦糸卵→お米→鰻→お米

大洲には、昔の城下町がそのまま残るところがあります。「まちの駅あさもや」に自転車を停めて散策。江戸時代の商屋の蔵が建ち並ぶ「おはなはん通り」は他の通りより明るい印象。それもその筈。白壁は光を反射する力が。夜には月明かりで一帯を照らして防犯対策に一役買っていたみたいです。他にも防火性や調湿機能があるとのこと。蔵の外壁にはうってつけだった訳ですね。「ポコペン横町」は一転。昭和30年代にタイムスリップ。毎週日曜限定で出店もあるみたいですが。今日は土曜日だったので、映え写真を沢山撮って楽しむことに。

おはなはん通り。NHKの朝ドラ「おはなはん」のロケ地になったのが名の由来
昔の自転車や看板、車が集結するポコペン横町。現代の風景もいつか懐かしむ時が来るのでしょうか

基本的に海沿いを走る本ツアーですが、この先は選択肢が2つ。事前の打合せで希望できます。①趣旨通り海沿いコースで松山へ。②内陸にある村田さんオススメスポットに寄り道(※ただし往復分の距離が増える)。筆者は②を選択。これが正解でした。やってきたのは江戸~明治時代の面影が残る「内子町」。木蠟や生糸の生産で繁栄した町です。家々の外壁はクリームイエロー。大洲でも少し見掛けましたが、内子は多くがそれです。ほっこりした雰囲気。広域なので散策は自転車で。想像以上に見所満載でした。

内子町の町並み。壁には、漆喰に黄土を混ぜた「黄漆喰」が使用されています

 内子座 

大正初期に建てられた現役の芝居小屋。地元の吹奏楽部が練習中につき、無料開放されていました
中央の枡席は座布団を敷いて鑑賞するスタイル。どんな風に舞台が見えるのでしょうか。見学しているとルパン三世のテーマが。建物の雰囲気と意外に調和して新境地が生まれていました

 内子町歴史民俗資料館 商いと暮らし博物館 

大正時代の薬局店頭。試薬瓶や漢方が並ぶ様は今とは全然違います。内部も見学でき、当日の生活様式が窺えます
ボラギノール発見。そこに何故かケチャップが同席。どんな効果効能で売っていたのでしょうか笑

 酢卵 

 上芳賀邸 

世界の木蠟で栄えた芳賀邸の一つ。住宅と製蝋施設が一体として残るのは全国でここのみ。内装は豪華絢爛。大富豪であったことが窺えます。熟練のガイドさんから案内を頂けば一層楽しめます
ハゼの実が木蠟の原材料。蝋を日光で漂白するのが独自技術だったそうです。オゾン漂白の原理

今日は町並み観光一貫。何カ所も回ると、町ごとの特徴が際立ちますね。実は筆者、歴史が大の苦手。普段は看板の説明やパンフレットにも目をくれず、ただ外観を楽しむスタイルです。今回モニターとして皆さんにお伝えする立場となり、初めて建物の造りや時代背景を知ろうという姿勢で臨み(※頑張りました!)。また現地ガイドさんの案内を聞く機会を頂いて。理解を深めた上で観た方が、注目ポイントが増えて面白いのだなぁとなりました。ちょっと歴史に歩み寄れましたかね笑。この後、町内の「マザーズ」で晩御飯を頂いて「Hotel AZ 愛媛内子店」で宿泊となりました。

四国一周まであと613 km

モニターツアー【カメコ編】 記事一覧

DAY走行場所走行距離
1高知県 高知市~須崎市55 km
2高知県 須崎市~四万十市74 km
3高知県 四万十市~土佐清水市55 km
4高知県 土佐清水市~愛媛県 愛南町59 km
5愛媛県 愛南町~宇和島市40 km
6愛媛県 宇和島市~喜多郡 内子町58 km
7愛媛県 喜多郡 内子町~松山市62 km
7.5愛媛県 松山市 & 今治市走行はお休み
8愛媛県 松山市~今治市77 km
9愛媛県今治市~香川県観音寺市92.5 km
10香川県 観音寺市~高松市83 km
11香川県 高松市~徳島県 鳴門市73 km
12徳島県 鳴門市~海部郡 宍喰町99.5 km
13徳島県 海部郡 宍喰町~高知県 室戸市48 km
14高知県 室戸市~高知市77.5 km

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